ありーのだいありー

ありーのだいありー

いろいろ書いてましたが(笑)、今はただの旅日記です。

何も知らずにインドのローカル床屋にいってみたら

「よし、今日も終わった〜」

仕事帰りに僕はPG(下宿)に向かいながら、家に着いたら何をしようか考えていた。

「疲れたしさっさと寝ようか…いや待てよ、今週末にはコーラスの発表会がある。2ヶ月も髮を切ってないし、そろそろ髪を切りに行くか。」

PG(下宿)近くの小さな床屋へ向かった。

 

 

f:id:shinya-arikawa:20150926152843j:plain

若い人が入っているのを見たことがなかったが、覗いているとおっちゃんが

「ほら、来い来い!!」

と笑顔で手招きしてきた。 お、愛想がいいな。入ってみるかな。 小さな床屋の2台しかないその席に着いた。

 

「どう切るか!?」

と言われ、英語でどう伝えればいいかタジタジになっていたら、すぐにポスターを見せてくれた。

「どれにするか!?」

f:id:shinya-arikawa:20150926153334j:plain

なーんだ、おんぼろ床屋にしてはけっこうカッコいい髪型もあるじゃないか。このおっちゃん、見かけによらずけっこう上手いんだろうな、と思いながら、一番いつもの髪型に近いものを選んだ。

2ブロックだけど、このおっちゃん出来るのかな?と不安になって聞いてみたら

「オーケー!オーケー!!」

と自信満々。まあ、これなら大丈夫そうだ。

…この時はこれが罠だとは気づかなかった。

  

当たり前のようにバリカンを取り出して、頭をガッシガッシ掴んでバリバリ髪の毛を刈っていく。手慣れた手つきにこの真剣な表情、まさしくプロフェッショナル。さすが床屋一筋、何十年も伊達にやってない。ぼくは薄ら目を閉じながら安心しきっていた。

f:id:shinya-arikawa:20150926153540j:plain

「ゥウィーン、バリバリバリッ、バリバリバリッ、ウィーン、バリバリバリッ!!!!」

………おいおい、ツーブロってそんなやるもんだっけか?

よく鏡を見てみたら、けっこう上まで刈られている。しかしまあ、このおっちゃんは自信有り気だし、この人なりの切り方があるんだろう。まだ僕は彼を信頼しきっていた。

 

ハサミを取り出して、上も切り始めた。インドにもすく技術はあるらしい。

「ジョキジョキジョキ、ジョキジョキジョキ、ジョキジョキジョキ」

「...(う〜ん)」

おっちゃん、なんだそのうめき声は。

「ジョキジョキジョキ、ジョキジョキジョキ.......ゥウィーン、バリバリバリッ」

………………ん?バリバリッ??

「ちょ、ちょっとストップストップ!!切り過ぎ、切り過ぎ!!」

咄嗟に言ったが、おっちゃんは聞かない。

「オーケー!オーケー!!」

と笑顔でどんどん刈っていく。

 

そう、ここでやっと気付いた。このおっちゃん、英語通じてない。そして、このおっちゃん、どうやらこのポスターのイケメンヘアスタイルの切り方知らない。

なんで切れないのにメニューを見せるんだ、なんで英語は喋れて聞くのはできないんだ……そんな苛立ちが募る。

しかし、ここで途中で出て行くわけにもいかない。なぜなら頭の半分だけ刈られているわけだから、このまま出て行ったらそれこそやばい。しかもこの時間に他の床屋を探すのはもう難しい。もう、最後までいるしかない。

「いいよ、切ってくれ...」

そう観念して、身(頭)の全てをこのおっちゃんに任せた。どうか普通の髪型で収まってくれますように、と祈りながら。

「ウィーン、バリバリッ、バリバリッ、ウィーン、バリバリッ!!!!」

刈るわ、刈るわで、最後にカミソリでもみあげと襟足を直角に仕上げ始めたが、もうそれを制止する気力もなかった。

 

「よし!終わりだ!!」

 

ああ、刈られてしまった…この感覚、似てるぞ。この前の盲腸手術前に下の毛を全部剃られた時のやつだ笑

「どうだ!?」「いいか!?」

と満足そうに、愛想の良い笑顔で聞いてくる。それがなんとも可笑しくなった。怒る気にもなれず、

「あー、うん、いいね...」

と答えておいた。

 

カット代を聞いたら50ルピー(100円くらい)だと。安い…安すぎる。インドの物価は日本の1/3くらいだから、日本の物価に直しても300円程度だ。

…通りでこの髪型なわけだ。

でもひょっとしたら、インドではこの髪型は普通なのかもしれない。そうだ、きっとインド人にまた一歩近づいたんだ!!と都合よく考えながらPGに戻った。

 

僕の頭を見たインド人のルームメイトら、大爆笑。

「どこでそんな髪にしてもらったんだよwww」

「どうしてそんなところにいったんだwww」

「いやでも、(プッ)いいと思うよw」

「大丈夫、1、2週間経てばよくなるよ…w」

 

その髪型がこちら。

f:id:shinya-arikawa:20150926154017j:plain

 

オーダーしたのがこのポスター。

f:id:shinya-arikawa:20150926154031j:plain

 

おっちゃん、全然ちがうよね?笑 ポスターのイケメン効果を全て差し引いても、もはやこれはただのBOUZUじゃないか...?

近づけようと努力した痕跡は見られる。でも、多分上手くいかなかったんだろうか、あのうめき声の後、綺麗にバリカンで刈られている。

 

それにしても、ぼくはインド人に近づいたわけではないのか、と思うと少し気が沈んだ。ルームメイト曰く

「せめて150ルピーのところにいっておけばよかったのに」

「そこらへんの床屋はちゃんとした練習してないからダメだよ」

とのこと。

 

...しかし、本当にそこまで悪いだろうか?ここまで短くしたのは人生で初めてだが、新しい境地を切りひらけてむしろ良かったんじゃないか。しかもここはインドだ。東京じゃない。そこまでおしゃれをしなくても、気楽に生きていける自由さがある。

 

次の日、上司が僕の頭を一目見てこう言っていただけた。

「ちょっとだけスラムダンクの赤城に似てる。」

ぉお、何だか自信が湧いてきた。たしかに、そう言われてみれば似てないこともない。聞いてみると、年配の方々からはこちらのほうが爽やかで評判がいい。

短いから涼しいし、髪を洗うのも楽だし、乾かす必要もない。その上僕は、赤城だ。しかもたったの100円で、特にサービスが酷かったというわけでもない。これはなかなか上等じゃないか。

 

帰りに、その床屋の前を通ったら、昨日と同じ、あの愛想の良い葉の抜けた笑顔で手を振ってくる。

またここで切ってもらうかは別として、当分の間、この髪型を楽しもうと思う。オーダーした髪型と全然違っていたからこそ、逆に楽しめることもある。新しい境地をまた1つ切り開いたんだ。

いやーほんと、いい経験したな〜、ありがとうおっちゃん。

広告を非表示にする